設計図通りに施工が可能ならば、現場代理人の原価管理業務は、ぐっと減るに違いない。
現場代理人にとっては、施工管理・工程管理・品質管理・安全管理等、激務の毎日であるに違いない。
これに付け加え、設計変更・現場変更に伴う原価管理などする余裕がないという。
■ 例えば、民間工事の現状:
建築プランが変更になった。それに伴い設備プランがガラッと変更になった。
改修工事で、あるべき配線、配管等がなかった。接続する対象が変わった。
施工中に施主の意向で、ガス燃料が、電化に変わった。
機能が追加された。仕様がグレードアップされた‥
現場では、実に変更が多い。
少し、時間をください。まとめて会社の方から増減金額を報告しますという。
■ 提案:
減額が多く、増額が少ないのであれば、それでよいかもしれない。
工事完了後に、契約書に基づく増減精算をする余裕があるかもしれない。
現実は、設計変更・現場変更に伴う金額変動では、増額が圧倒的に多い。
ならば、増減を伴う概算金額を先手、先手で提示するのが、利益を損なわないための必要条件か。
一方で、現場を見ていない積算部署が、増減をスピーディーに算出するのは困難である。
ここでは、増減「精算」ではなく、概算の提示が先立つので、増減「積算」という言葉を、あえて使う。
まず、要求されるのは、工事着手前に 概算金額をスピーディーに算出し、発注者の承諾を得る ことである。
概算のポイントは、必要精度の見極め。まず、最初は「粗」から始まる。
例えば、A案を採用するのに40万円掛かるのか?60万円なのか、80万円なのか?
概算結果、40万円なら、ぜひしたい。60万円ならもう少し細かな金額算出へ、80万円なら不採用のたぐい。
工事現場の事務所では、現場代理人のほとんどはパソコンを使っている。
このパソコンに 複合単価をデータ・インストールしておく。 社内単価を会社で閲覧する時間などない。
「 複合単価・自由自在 」 を使って説明すれば、話は早いが、一般向けのためここでは説明不足だが‥
まず、森を見ることから始まる。電気設備ならば配管・配線サイズ等は平均をとる。
例えば、電灯配線:EM-EEF 1.6-2C,1.6-3C,2.0-2C,2.0-3Cを拾い分けをせず、平均をEM-EEF 2.0-2Cとする。
衛生設備もしかり。冷暖房設備、空調換気設備のダクトもしかり。
その平均サイズとして、全数量を大まかに拾う。
材料に極端な偏りがあれば、グループに分けその平均をとる。
合計数量に複合単価を掛ける。
部材も同様に平均をとる。その個数を計上する。無理があればグループ分け平均をとる。
複合単価を用いることが、スピーディーに計上する 「キーポイント」 である。
複合単価は、付属品、雑材料、ロス分、労務費、下請経費、損料等を全て含んでいる。
間違いはないと思うが、立ち上げ等の数量拾いを忘れないように。
複合単価の採用には、十分な注意が必要となる。
○○積算実務マニュアルは、有益な書籍だが、
契約金額がかなり低い場合、値切られ代が大きい場合は、使いづらい。というより誤差が大きすぎる。
■ 管 理 可 能 費 と 管 理 不能 費 が区別できないため、標準単価では、対応しづらい。
複合単価・自由自在なら、シート内の掛け率変更等での契約ベースに近い複合単価をお使いください。
それ以外だと、いくら「粗」といっても、積算にはならない。
■ 精度を上げる場合:
A案で変更施工することが、決定した。
拾い出しレベルを上げ、小グループに分け、同様の作業をする。
最終的には、全てを拾い出し、複合単価を掛け、集計をする。
精算の方法は各社で、まちまちなのでここでは触れないでおきます。
最初から、きちっと積算しようとすれば、誰だって無理が生じる。
砥石を使うように、荒砥に始まり、中荒砥、仕上げ用と精度を上げていくことが肝要か。
多くの方は所持されていると思いますが、
単なる精算書フォーマットですが‥よろしければこちらからダウンロードをしてください。
増減積算は、まず苦手意識を捨てること。ふさわしいツールと手法を選ぶこと。
ちょっとしたコツで、案外スピーディに算出できるものです。
官民工事に関わらず、
設計変更・現場変更に伴う増減金額をスピーディーに算出できる力を身に付け、
竣工精算時には、常に利益アップをして、帰社される現場代理人となることを願ってやまない。
監理者チーム |